新年明けましておめでとう。起きていた家族たちと言葉を交わし、リビングから自分の部屋へと戻った。部屋に置かれていた携帯は着信有りの光を放っていて、携帯を開くと部活のメンバーやクラスの友達からの年賀メールが着ていた。送ってない友達には急いで返さないとな、と一つ一つ読んでいるとあるところで目が留まった。 友達にメールを返さなきゃいけないのは分かっているが、ついダイヤルボタンからに電話を掛けてしまった。

『もしもーし!明けましておめでとう!』
「明けましておめでとう。メールありがとうね」
『見たんだ!今ね、テレビ番組が面白くって寝付けないでいるんだよー!困った!』
「クスクス、らしいね」
『笑ったなぁ!新年初笑いをそんなことで使うともったいないんだからね!』
「そう言われても全然勿体無いとも思わないんだけど」
『言ってもあたしもとっくにテレビで使い果たしちゃったんだけどね』
「人に言ってることとやってることが違うよ」
『いいのいいの。何はともあれ、本年もよろしくお願いします』
「こちらこそ。で、はもう初詣に行った?」
『今から家族で行くかなぁ?それか朝になってから。みんなテレビから離れられないからね!』
「何それ。まさか今の状態が炬燵にみかんとか言ったりしないよね?」
『あったりー!木更津すごいねぇ!大当たりだよ!!今年いいことあるよ、きっと!』
「クスクス、からお墨付きもらったから、おみくじ引いたら大吉でるかもね」
『大吉!?あたしも大吉欲しいけど、なんか小吉とか微妙なの引きそう・・・』
「そうかもね。ならきっとやるよ」
『そうかもって!そんな先読みしたこと言われると不安になるじゃん!!』

電話越しに聞こえるの声が自分だけのために向けられていると思うと切りたくないのが本心で、あと何分、何時間とこの電話が続くのか分からないけれど、自分から切ることはないだろう。ああ結局、友達に返さなきゃいけないメールを忘れてしまっている。まぁいいか、今日中に返せれば。



電話越しに君を独占



(07/01/03)